乳房温存術(乳房部分切除術)について

乳房温存術(乳房部分切除術)

【乳房温存術】は乳がんのしこりを含む乳腺の一部を切除し、乳頭、乳輪は残し、乳房をできるだけ温存する手術方法です。
手術後に放射線治療をセットで行うことが前提の標準治療になります。
手術+放射線療法がセットで【乳房温存療法】と言うそうです。
手術後も乳腺の正常組織が残るため、乳房のふくらみが保たれます。

以下の条件で乳房温存療法が適応となります。

  1. しこりの大きさが3cm以内(美容的に良好な結果が得られるなら4cm以内)であること
  2. 手術前の画像診断上、がんの範囲が限局していること。
  3. がんが乳房内に多発していないこと。(2つ以上のがんが同じ乳房内の離れた場所にあると適応外です)
  4. 放射線治療が受けられること(妊娠中、ある種の膠原病を合併している、過去に同部位に照射歴がある、などの場合は適応外です)
  5. しこりの大きさやバランスから美容的な仕上がりが良いと予想される
  6. 本人が温存療法を希望している


私には適応外の乳房温存手術についてもまとめてみました。
ちなみに私の母は乳房温存療法で治療しましたが、治療から6年経った今でも再発もなく元気に過ごしています。

母が受けた乳房温存療法について

私の母も2014年に乳がんになりました。
診断時に自分から先生に

「全摘でお願いします。」

と頼んでいましたが、発生部位が良かった???と言えばいいのかわかりませんが先生が

「あなたの場合は部分切除と放射線治療でいいよ」

と言われておりました。そして

「もし再発したらその時に全摘すればいいから」

というアドバイスを頂きました。

母は絶対に再発は免れたいと思い、主治医に全摘をお願いしたのですが、主治医は母の場合は美容的な仕上がり(見た目のバランス)が保てる為、全摘は必要ないと判断したのだと思います。

 

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  • A 内側上部 
  • B 内側下部
  • C 外側上部
  • D 外側下部
  • E 乳輪部 

 

私のしこり(粘液がん)の発生部位は左のBの内側下部でしたので、【乳房部分切除術】では美容的な仕上がり(見た目のバランスが崩れてしまう)が悪すぎて適応外でした。
またCの外側上部にも非浸潤性乳がん(DCIS)があったため、2つ以上のがんが同じ乳房内の離れた場所にあることになります。

母の発生部位は左のC部分だったので【乳房部分切除術】が適応されました。
手術後も何度も一緒に温泉に行きましたが、母の傷はあまり目立たず隣でみていてもあまりわかりません。
それでも本人は乳がん手術後に行った最初の温泉では気にしていましたが、私から見ると本当に目立たないので

「全然わからないから大丈夫だよ」

とよく言っていました。

まぁ母も65歳で乳がんを発症したため、やっぱりお胸が垂れていますよね。
なので垂れている為に目立たないだけで、もっとピッチピッチのお胸だとどうなのかはわかりません。
こんな感じです。(母はこの絵よりもちろんお胸がたれています。)

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でも本当に温泉で目立つレベルではないんです。なんだか母が羨ましくなってきました。乳がん発生部位によって手術後の美容的な仕上がりがだいぶ違うんですよね。そしてやっぱり乳輪と乳頭を残せるのは大きいなと思います。

手術後に行う通院での放射線治療ですが母の場合は手術後約1ヶ月後に始まりました。
25回照射するということで、月曜日から金曜日まで5週間病院に通っていました。
1回の照射時間は約1分程度で所要時間は約10分程度だったらしいです。

母の場合は照射3回目くらいで照射場所が真っ黒になってきて、1週間程でヒリヒリ痛くなり、また普段の生活では洋服が擦れて痛かったらしいです。
塗り薬の“ゲンタマイシン”が処方されてヒリヒリを我慢したそうです。

乳房温存手術+放射線療法がセットのこの治療方法では手術後に5週間通院せねばならないので、なるべく近い病院の方が楽なんだと思います。遠い病院だとちょっと心配ですね。

医療関係者にお話を伺うと

「今は全摘が主流よ」

と結構サラッとおっしゃります。
なぜなら

  • 綺麗に再建が可能である
  • 放射線を当てた後は皮膚の萎縮があって再建が難しい

などの理由で【乳房温存療法】で治療した後に万が一再発した際に乳房の再建が少し難しくなるそうです。

それでもやっぱり乳輪、乳頭が温存できるなら

【乳房温存術(乳房部分切除術)】がいいな〜

と羨む全摘予定の私です。