とうとう旦那さまに怒られる........
なんとか全摘手術を避けることはできないのか、いや避けることはできないと自分でももうわかっているのに、だったらなんとか乳輪や乳頭を残すことはできないのか...............。
と必死に治療方法をネットで調べる私の隣でテレビを見ながら何も言わずそれを横目で見ていた旦那さま。
一緒に聞いてくれた診断結果で乳がんで全摘手術が必要と宣告された後も特にそのことに関してはあまり話題にもせず、2人で改めて話してもいなかったのですが、私が不意に
「もしいい病院があったらそこで治療を受けてもいい?」
と聞くと
「それはええけど......」
と言われたので自分が調べた治療方法を説明していたのですが、突然こっちをまっすぐ向いて
「それは違うんちゃう?」
と言うので、
「えっなんで?」
と答えると
「何が大切なのか一番お前がわかってるはずなのに、なんでそんなこと言ってるの?」
と言われて
えっ.........?
と思っていたら、
「再発しないためには標準治療を受けなあかんのちゃうの?」
とごもっともな意見を言われまして
「いや、うん、それは良くわかってるんだけど...........」
「えっ?でも..............」
「だっておっぱいだよ、見た目全然変わるんだよ!! もうビーチリゾートも温泉も行けないじゃん」
とキレ気味で言い返したら
「なんで? 行けばええやん」
「それは人のことだから言えるんだよ!!」
「こっちはものすごい気にするわっ!!」
とこっちもかなり怒り&悲しみからキレ気味で答えたら
「じゃあおっぱいじゃなかったらええの?」
と一瞬思考回路が止まるような言葉で言い返してくるので
「はっ?! 何言ってるの?」
とやっぱりおっぱいの膨らみのない男の人には理解できないんだなと思いながら言い返すと
「俺だってお腹にすごい手術の傷跡あるやん」
と、それはそうなんだけど、なんかちょっと違うんだよなと、そりゃあ女性の気持ちはあまり理解できないよねと思いながら
「でもそっちは傷痕じゃん。私は片方のおっぱいがなくなるんですけど!!」
とまたもや反べそでキレ気味で言い返すと
「じゃあ病気や事故で腕とか足とか切断しなきゃいけない人は?」
「っていうか腹掻っ捌いて内臓切られる人は縫い目しか見えないからいいの?」
「なんかさっきからずっと間違えてると思うよ。」
と一気にまくしたてられた後にちょっと顔つきが変わり本気で怒られました。
「がんやで、なんで見た目を気にしてるの?」
「そういうことじゃないと思うで、ちゃんと治療して再発しないようにせなっ!!」
とまたもや至極ごもっともな意見を言われてしまい私は返す言葉もなく撃沈。
「だって、おっぱいが.....」
と言うとかぶせ気味に
「そんなことより大事なことがあるやろ!!」
と..........かなりお怒りのご様子で言われまして、
「そんなことって.......(私にとっては大事なことなんですけどっ)」
「..............そうだよね。(あれ?そうかな?)」
「わかってるんだけどね。(でもおっぱいが.......)」
と旦那さまの鶴の一声でバリバリの標準治療の全摘手術を受ける流れになりました。
乳がんで乳房を失うということ
乳がんになって手術を受ける必要があると突然宣告されて、全摘はもちろんですが部分切除という治療方法を提示されても、手術を受ける前は多くの方がきっと私と同じように悩むのではないでしょうか?
乳がんという病気を考えた時、手術という治療方法が受けられるということは乳がんを克服できる可能性があるので安堵する反面、乳房を失う不安がどうしてもつきまといます。
私もいろいろと悩んだり、考えたり、手術後の自分を想像しました。そしてネットで検索して手術を受けた後の傷痕などの画像をネットに上げてくれている方の画像を見たり、その方の生活などを調べました。
手術によって乳房を失うことはどう考えてもなかなか受け入れられないし、でも乳がんは怖い病気だとわかっていて、もちろん手術を受ける以外に道はないことはわかっているのに、やっぱりなんか納得できない!!
どうして全摘に対してこんなにも抵抗があるんだろうと?思いました。
- 単純に手術後の見た目が気になる
- 手術後の生活も気になる
- 自分自身がその見た目を受け入れられるか自信がない
- 温泉に行けなくなる
- 水着も着れない
- なんだかパートナーに申し訳ない
などいろいろ頭に思い浮かびますが、一番理不尽に感じたのは
全く痛くも痒くもないのに、なんで切らなきゃいけないの?
それもなんで片方のおっぱいをバッサリ切らなきゃならないの?
とすごく強く思いました。
症状が全くないんですよ。もちろん初期の乳がんだから症状がないんです。
ただがんは進行性の病気のため何も治療をしなければ早かれ遅かれ病状は悪くなるんです。
そして亡くなっていきます。
命あっての物種
何事も命があってこそ初めてできるものだという例え
命に過ぎたる宝なし
命に勝る宝物はこの世にはない
死んで花実の咲くものか
生きてさえいれば良いことがある
A living(or live)dog is better than a dead lion.
生きている犬の方が死んだライオンよりまし
There is a remedy for everything expect death.
死以外では全て救済法がある
while there's life, there's hope
生きている限り希望はある
明石家さんまさんが言っている
生きてるだけで丸儲け
私もよく言っている
死んだら終わり
がんという病気と向き合うということはそういうことなんですよね。
もちろん良〜くわかってるんですけどね。
全摘しなければいけないのはいろいろな手術方法を調べた自分が一番わかっていて、でもそれから逃げたい、素直に受け入れられない、みたいな感じでした。
乳がんになって全摘宣告をされた人の中には私と同じような気持ちになる方も多いのではないのでしょうか?
ただ、旦那さまに怒られて無理やり目を開けられたことによってパッチリと目が開きました。
そのおかげで、乳がんという恐ろしい病気になってしまったのに、病気のことより乳房の見た目(整容性)ばかりに気を取られていた自分に気づきました。
そして、この後に手術前検査を進めていく過程でまたドキドキすることが起こり、旦那さまに怒られたおかげで全摘手術を早くに受け入れることができて本当に良かったと思うのです。